心のパン屋さん〜私には仲良しのパン屋さんがあります。その人は、札幌にいます。その人は、以前、私の勤めていた中学校の警備さんでした。たいていの警備さんは、見廻りのほかは、テレビなどを見ながら、夜の時間を。過ごすのですが、その人は司法試験を受けるために、一生懸命勉強していました。私はその姿を見ていて、何となく親しみを感じていました。 私も学校の仕事が忙しく、たいへん遅くまで学校に残ることが多かったので、いつとはなく仲良しになって、何かと親切に心づかいをしてくれるようになっていました。私が退職して三年目、母校の音楽会にお誘いしようと思って電話をかけました。その人はやめていました。移転先に連絡してみますと、何回受けても駄目だった司法試験をあきらめ、パン屋さんの学校に入り、今は自分でパンを焼いて売っているということでした。そして「ふつうのパンだけでなく心のパンを売るのです」と言って、元気でした。私は興味をそそられて、どんなふうに?と聞いてみますと、店の一部を喫茶室のようにして、そこでときどきコンサートをするということでした。音楽家の友達にきてもらって、演奏してもらうのです。ピアノのこともあり、バイオリンのこともあり、オオボエのこともあり、音楽家の友達も聴いてもらうのを楽しみに演奏してくれるのです。  プログラムが半分くらい進みますと、休憩になって上手に入れた紅茶とそれからお手製の・・・・パン屋さんですからとてもおいしい、口に入れると、とろとろと溶けてしまうようなケーキが出ます。そのお茶を飲み、そしてケーキをいただいて、そこでまた音楽を聴く。そうしたような小さなつどいをしているのです。 だいぶ理解する人があって成功して、近所にたくさんの、といっても四つですけど支店を出しました。その四つ目の支店が今度開店しますについて、私もそのコンサートに行ったわけです。そのときは「音楽とトークのつどい」というわけで、私は音楽と音楽のあいだに、小さなお話をしました。そして、私は、心のパンを売っているその人の、とても頼もしく、懐かしい姿を見てきました。それで、私も「心のパン屋さん」という題がつけたくなったというわけです。
『心のパン屋さん』大村 はま
心のパン屋さん 著者/大村はま 1999年4月15日 初版第一刷発行 発行者/相原成光 発行所/舗桐筑摩書房 郵便番号111-8755 東京都台東区蔵前2-5-3 振替00160-8-4123ISBN4−480−81607−O COO95
大村はま(おおむら・はま) 1906年、横浜生まれ。1928年、東京女子大学卒業後、国語科教師として長野県の諏訪高等学校に赴任。1947年、新政中学の教師に転出し、以来、単元学習など数多くのユニークで実践的な指導を重ねる。優劣の意識を超えたところで生徒を授業に熱中させる、新鮮で画期的な『大村はま国語教室』は子供たちを育てるばかりではなく、教師・研究者・親にも貴重な刺激を与えてきた。著書多数。筑摩書房からは、これまでの仕事を体系化した『大村はま国語教室』(全15巻・別巻1)をはじめ、教師たちに向けた『教えるということ』『日本の教師に伝えたいこと』『教室をいきいきと』1・2のほか、近著として、自らの歩みを記録した『私が歩いた道』がある。

大村 はま 著『心のパン屋さん』
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